国家一般職(その他多数)合格 北村夏海さん(同志社大学4年)

Ⅰ.はじめに

私は2021年度の公務員試験を受験し、国家一般職の某本省、国税専門官、某政令指定都市で内定をいただきました。私の第一志望は内定をいただいた本省とは別の本省だったのですが、1年以上勉強を続けてきた成果として複数箇所から内定をいただけたことをとてもうれしく思います。
私は大学で日本史を専攻し、茶道部に所属しています。また、週に2~3日のアルバイトやボランティア活動も行い、教職免許や学芸員資格を取得するために講義も多く受講していました。そのため公務員試験の勉強を始めた当初は、「大学生活が忙しくて試験勉強が進まない」、「法学部や経済学部じゃないから周りの受験生に後れをとっているかも」と日々不安に感じていました。就職活動は自分の将来に合わせて、自分で行動に移していかなければなりません。いま何をするべきか、試験をどう乗り越えていくべきか、公務員試験勉強を始めた私と同じように不安に思っている方に少しでも役立つ話をすることができればと思っています。

Ⅱ.私が行っていた勉強方法

始めに私が勉強をするうえで意識していたことについてお話ししたいと思います。それは「自分の得意分野を伸ばす」、「不安に思うことはすぐに相談する」、「息抜きを大切にする」ということです。
まず、「自分の得意分野を伸ばす」ということですが、私は暗記科目や文章理解が得意だったので、感覚をわすれないように毎日問題を解くようにしていました。また、社会学、政治学のような学系科目、人文科学に関しては難しい問題がでても答えられるようにほかの科目よりも深く勉強をするようにしていました。そのため試験本番では、「苦手な数的処理の代わりに文章理解や知識系の科目は全部正解する」という気持ちで取り組んでいました。
次に「不安に思うことはすぐに相談する」ということですが、就職活動は自身の進路によってやるべきことが決まるため、今まで以上に主体的に動くことが求められます。私は昨年の夏ごろまで公務員試験の制度や勉強するべき科目について曖昧なまま勉強を続けていました。そのため勉強方法はあっているのだろうか、公務員の仕事内容はどのようなものなのか等疑問点が多くあり、日々不安なまま過ごしていました。ですが、公務員試験のプロである先生に相談したり、学内講座生用の相談窓口を頻繁に利用することで、試験の全体像を捉え見通しをもって勉強に取り組むことができました。初めての行う公務員試験には当然わからないことがたくさんあると思います。信頼できる先生や相談先を見つけ、疑問や不安を解消していくことをお勧めします。
最後に「息抜きを大切にする」ということですが、私は公務員試験の勉強は長期間続くため気持ちを切らさないようにすることが大切だと思っています。試験勉強が苦にならないように、「疲れた」と思ったときは休憩するようにしていましたし、気分転換に何度も友人と旅行や食事へ行ったりしていました。自分のペースで計画的に勉強を続けていくためにも息抜きを大切にしてほしいと思います。

【主な勉強スケジュール】

2020年3月~5月
私が公務員試験の勉強を始めたのは2020年3月、3回生の春休みからでした。5月から大学の学内講座を受講予定でしたが、数学が苦手だったので前もって勉強をしておきたいと思い、本屋で数的処理の参考書を買って1日1時間数学の演習をしていました。

2020年5月~12月
5月に学内講座での授業が始まりました。私は講義がすべてオンラインだったので、自宅で学内講座から指示される計画通りに学習をしていました。そのため夏休み期間の勉強時間は多くても6時間程度でした。夏休みは憲法や数的処理、経済原論の講義を受け続け、夏休み明けから問題集を解き始めました。学内講座で年末までに主要5科目(憲法、民法ⅠⅡ、行政法、数的処理、経済原論)の問題集を3周するようにいわれていたので、一日に何問解けばいいのか計算して計画を立てていました。ですが計画は計画ですし、実際私が問題集を3周し終えたのは1月末ごろでした。年末に問題集を3周し終えるには夏休みから問題集に取り組む必要があるのかなと思います。

2020年1月~4月
年が明けるといわゆる直前期という期間に入ります。多くの官公庁で説明会が行われ始めるため、勉強に集中するだけではなく志望度の高いところは情報を見逃さないように注意しなければなりません。この時期私は春休み期間に入ったということもあり、1日13時間程度勉強していました。その時のスケジュールを書いておきます。休憩時間や食事の時間は書かれていないですが、「疲れたな」「おなか減ったな」と思ったときはその都度休憩していました。公務員試験は科目数が多いので、頭に入れた知識を忘れないように2日のサイクルで全教科に触れるようにしていました。教材は学内講座で配布されたもののみを使っていました。

              1日目           2日目
6:30 起床・朝食
7:15 電車にのる     世界史/日本史(1h)      地理/思想(1h)
8:30 学校到着      時事(0.5h)         時事(0.5h)
9:00 図書館開館     文章理解(1h)        文章理解(1h)
10:00          数的処理(1.5h)       数的処理(1.5h)
11:30          時事(0.5h)         時事(0.5h)
12:00          社会学/財政学(3h)     政治学/行政学(3h)
15:00          ミクロ経済学(2h)      マクロ経済学(2h)
17:00          憲法/民放Ⅰ(2h)      行政法/民放Ⅱ(2h)
19:00          自然科学(1h)       人文科学(1h)
20:00          専門記述(1h)        社会科学(1h)
21:00 図書館退館・移動
23:00 自宅到着     教養記述(1h)
24:00 お風呂・自由時間
25:00 就寝

2020年5月~6月
5月に入ると本番の試験が始まります。私はいくつも併願していたので毎週のように試験があり、直前期のように一日がっつりと勉強する時間は少なくなりました。ですが1日8~10時間程度は勉強していました。このころになると法律系の問題集は7~8周ほどしていましたし、学系の問題集は試験までに3周を終えるように勉強をしていました。新型コロナウイルス感染症の影響で複数回あった模試も自宅受験だったので、多くの受験生に囲まれて行う試験は少し緊張しました。公務員試験は毎年”はやり”のような問題があるらしく、本番の試験で間違った問題は次の試験では解けるように直しを必ずしていました。

Ⅲ.面接について

公務員試験では筆記試験ばかりに気をとられてしまいますが、面接練習も早い段階から行うべきだと思います。私は11月から受験先のエントリーシートを作成し、学内講座の相談窓口を利用して添削してもらっていました。また、本番想定の面接練習も年明けから始めていました。そのため、一次試験が終わってほかの受験生が慌てて面接練習をしているなか、余裕をもって本番に挑むことができました。

Ⅳ.公務員試験を終えて

いま、この『2021年度公務員試験を終えて』を書いている2021年8月末時点では、内定をいただいた官公庁の中からどこに就職をするのか、ということを決めていません。自分の将来を選択することができるというのはとてもうれしいことだと感じています。
私は仲の良い友人の中で、最後まで同じ公務員志望という人はいませんでした。そのため気軽に意見交換を行うことなどはできませんでしたが、早々と友人が民間企業から内定をもらう姿をみても、「私と友人が志望する就職先は違うからな~」とあまり焦ることはありませんでした。マイペースに試験勉強や準備を行っていたので、気持ちを切らすことなく試験が終えられたのではないかと思います。私自身勉強をすることが苦ではなかったので、それほど勉強をしていたという意識はなかったのですが、公務員試験が一段落し勉強をやめた際に家族や仲の良い友人から「ずっと勉強してたね」と言われました。私は公務員試験専願で民間企業は一つも受けていなかったので、今思い返すと公務員試験合格という目的が明確だったからこそ、勉強に熱中して取り組めていたのかなと思います。

Ⅴ.これから公務員試験に挑戦する人へ

これから公務員試験に挑戦する方にいくつか伝えたいことがあります。
まず勉強を始める時期ですが、4回生の春からで十分だと思います。私は先ほどもお話ししましたが、公務員試験勉強を行う上で「どれだけ持続的に勉強をおこなえるか」が重要だと思っています。勉強を始めた当初、私の周りにも公務員を志望する友人が何人かいたのですが、ほとんどの友人は勉強が続かず公務員をあきらめ民間の就職活動を行っていました。公務員になりたいという気持ちを切らさないようにするためにも、あまり早い時期から勉強するのはおすすめしません。
代わりにできる受験準備として、私は資格を取得することがいいのではないかと思います。私は大学に入学してから教員免許や学芸員資格、秘書技能検定、中国語検定などほかにも様々な資格を取得してきました。大学の講義が多くあり日々忙しかったのですが、その中でも隙間時間を見つけて勉強することや長時間勉強を行う体力が身につきました。また面接試験では取得した資格について質問されることも多かったため、公務員試験勉強の準備として、自分の気になる資格取得に挑戦してみるのもいいのではないでしょうか。
長くなりましたが、最後に私が公務員を目指したきっかけについてお話ししたいと思います。試験勉強を始めた当初私が公務員を目指した理由は、「私の家系全員が公務員だったから」です。そのため昔から漠然と将来は公務員になるんだろうなと思っていました。民間就職、企業研究の仕方が分からないということも公務員を目指した理由です。ですが1年以上、試験勉強や公務員の仕事内容を調べるにつれ、「こんな部署でこのような仕事をしてみたい」と具体的なイメージをいくつも持つようになりました。いま試験に合格し、やってみたいと思えた仕事先から内定をもらえて、今後人生の大半を占めるであろう公務員の仕事を始めるのがとても楽しみに感じています。公務員を目指すきっかけはどんな些細なものでもいいと思います。まずは自分の将来にむけて行動を起こし、それからじっくり考えていくことが大切なのではないでしょうか。